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執筆者の写真小原 徹

燃焼度とはなにか

小原研究室では資源を有効に使い廃棄物の少ない原子炉の研究をしています。

原子炉の燃料の利用効率を表す指標に燃焼度という指標があります。これは例えばウランを燃料とする原子炉ならば単位重量のウランからどれだけエネルギーを発生させることができるかという指標です。単位はSI単位系ならばJ/kgですが、原子力分野ではGWd/tという単位を使っています。10GWd/tは、装荷したウランの約1%が核分裂したことに相当します。燃焼度はどれだけウランが核分裂したかの割合で表すこともあります(この場合だと燃焼度1%といいます)。現在発電に実用化されている原子炉(熱中性子炉)の場合、%での燃焼度は、装荷したウラン燃料の濃縮度(ウラン中のウラン235の割合)と大体同じ程度になります。例えば濃縮度5%のウラン燃料を使えば、原子炉の種類にもよりますが、燃焼度は大体5%くらいになります。ただし、濃縮ウランは天然ウランからつくり、もともと天然ウランにはウラン235が0.7%しかありませんので、結局熱中性子炉では、天然ウランの1%程度しか利用できていないことになります。高速炉と燃料再処理を組み合わせた高速炉燃料サイクルを用いれば、天然ウランの利用効率は理論的には100%も可能です(実際にはサイクルの繰り返しに限界があり、燃料の損失もあるのでそこまではいきません)。ただし、この場合再処理施設を建設する必要があり、またプルトニウムを取り出すため核不拡散上の懸念も生じます。小原研では、再処理施設を用いず高い燃焼度が期待できるブリードバーン高速炉の研究をしています。燃焼度が高ければ使用するウラン燃料の量が少なくなるので、結果的に使用済み燃料も少なくなり、発生する放射性廃棄物の少ない原子炉になります。

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